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青春はぐるぐるだ。

見れば世界が少し変わる。三大広告賞「ONE SHOW 2015」受賞作 5選。

移転しました。

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とあるニュース番組で、「ONE SHOW」を知りました。ONE SHOWは三大広告賞のひとつ。ニューヨークに拠点を置くワンクラブ(The One Club for Art & Copy)が主催しています。番組では社会問題を広告で解決するというテーマで取り上げていました。

興味をそそられたので企画展(入場無料!)に行ってまいりました。受賞した映像作品が上記写真のようにスクリーンで見れるようになっています。今回は展示内容の概要と、映像作品の中で特にハッとさせられた作品を5作紹介いたします。

※ちなみに三大広告賞の残り2つはカンヌ国際広告祭とクリオ賞です。

 

基本情報

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【開催場所】

アド・ミュージアム東京

【開催期間】

2016年1月22日(金)〜2月27日(土)

【開催時間】
  • 11:00〜18:30(最終入館は18:00)
  • 土・祝・振替休日は16:30閉館(最終入館16:00)
  • 休館日:日曜・月曜(祝日・振替休日の場合は翌平日。)

アド・ミュージアム東京は「カレッタ汐留」の中にあります。都営大江戸線の汐留駅かJR新橋駅からのアクセス。常設展では日本の広告表現の歴史が楽しめます。懐かしい!と思うこと請け合い。ここだけでも見る価値がありますね。

個人的には2008年くらいに行って以来7年ぶりの再訪。以前は無かった2000年代の展示と震災以降の展示があって、自分の人生に照らし合わせて楽しめます。

そういえばあの頃、こんな空気だったなぁと感慨深い…。

 

ONE SHOW 展示内容

各受賞作が展示されている。映像作品はスクリーンでの上映。

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全31作品、通しで見ると70分程度。

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個別に見れるブースもあり、見たい作品だけを選んで見れるようになっていました。

 

受賞作5選(個人的な)

Fuck the Poor 貧乏人はクソッタレ! 

Fuck The Poor?

イギリスのホームレス支援団体のチャリティキャンペーン動画。街頭で貧乏人はクソッタレ!と呼びかけるヘイトキャンペーンの映像です。

多くの通行人が不快感を表し、なんてひどい、心が無いのかと詰め寄ります。その後、反対に「HELP THE POOR 貧乏人を助けて!」と呼びかけるが、人々は無関心で全く反応しません。

通行人の対照的な反応にドキっとさせられます。

ここで興味深いのは、クソッタレ!になると当事者意識、助けて!になると途端に他人のことになってしまう意識。助けて!と言われても、なぁ…。こっちも余裕ないっす…。

実際に街頭で見たらこう思うだろうなぁ…

この団体は資金難に陥っていたらしいですが、この動画で寄付金を集めることに成功したそうです。

クソッタレ!って言われたら自分も腹立ちますね。当事者意識があるから。だからこういう団体を応援することは、回り回って自分を救うことにもなるのかなと感じました。

 

Gisele Bundchen - Will Beats Noise 意志は雑音に打ち勝つ 


アンダーアーマー「I WILL WHAT I WANT Gisele Bundchen」60s

モデルのジゼル・ブンチェンが出演するアンダーアーマーのキャンペーン。タイトルの「雑音」とはネット上の批判的な書き込みを表しています。

ジゼルがキックボクシングに打ち込む背景で、「単なるモデルだろ」「ジゼルはニセモノ」「全然綺麗じゃない」等実際に投稿されたメッセージが映し出されます。

しかしジゼルはそれをもろともせず、ただ黙々とキックボクシングに打ち込んでいます。 雑音に惑わされることなく、自分の意志を貫く姿は胸に迫って来るものがあります。

批判的なコメントがネット上に横行していて、自分自身、実生活で自分への批判コメントが頭に浮かんで、萎縮することがあります。

批判するのって簡単ですね。(根拠のある批評は別ですが)簡単に偉くなった気分になれますし…。そんなの知らねーよって突き進める力が欲しいなと思った作品です。

 

Like A Girl


Always #LikeAGirl

「女の子らしさ」の意味を社会に問いかけるキャンペーン。P&Gの生理用品ブランドのAlwaysのキャンペーンです。様々な人に「女の子らしさ」を表現するように伝えると、いわゆる女の子走りのポーズをとります。

しかし、小学生くらいの女の子に同様の質問をすると、女の子らしさは全力で走ることに変わります。

社会や周囲の大人が期待する「女の子らしさ」が、思春期の女の子に対する圧力になる。

こういう「無言の圧力」は女の子らしさに限らず、男らしさ女らしさ、またはその年齢らしさ、などなど、色んな局面であるように思います。

私自身もその「らしさ」に押しつぶされそうになるときがあります。先のジゼルとも通じますが、そんなの無視して突き進めば良いと思う。思うんだけど、難しい。

だからこういった「らしさ」の問題を訴えかけるものに、すごく反応しちゃいます。そういう「らしさ」なんてクソッタレだと個人的には思っています。

でも完全に無視できない、ものすごいパワーに恐れおののいてもいます。

 

The Hair Fest


CASA DE LA AMISTAD THE HAIRFEST

サイコー。明快。長髪のメタラーの髪の毛を切って、メキシコ小児がん支援団体にかつらを寄付するプロジェクト。一見コワモテのメタラーの優しさを感じる作品。

しかも、この髪の毛の寄付が入場料の代わりになっています! 

サイコーにイカしたプロジェクトですね。

 

Sky Swatches


RENO DEPOT - THE SKY

カナダのホームセンター、RENO DEPOTのキャンペーン。これはもうなんというかシンプルでクール。洒落てます。

空の色をリアルタイムで検知して、その色のペンキの色を看板に映し出す。空の色と一口に言っても本当に様々な種類があって、その全部の色のペンキが揃っていることをアピールしている。

空の色味の名前が映し出される様は、どこかロマンチックな雰囲気すら漂っていますねぇ。

 

おわりに

世界的な賞をとる広告は、視点をずらし、新しい物の見方を提供してくれます。ネットでもテレビでも大量の広告が日々流れていて、ノイズに感じることもありますが、見た人を豊かにしてくれる広告も数多くあります。

ONE SHOW受賞作は、自分の物の見方を少し変えてくれました。

広告も捨てたもんじゃないな、と偉そうに思ったONE SHOWでした。