大人になるとドキドキが減る。経験値が増えた分、物事に予測がつくようになる。結果がだいたい読めると、新鮮さは無くなるし驚きも減ってしまう。もちろん世の中を渡り歩くには、予測ができるというのは重要なスキル。でも、そのせいで冷めてしまった自分を感じるのも確か・・・。
たまには若い頃のように、湧き上がる感情を味わいたい!そんな青春のドキドキを思い出させてくれるアニメをご紹介!
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あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。
- 製作年:2011年/2013年(劇場版)
- 製作:フジテレビジョン/A-1 Pictures
- 話数:全11話/劇場版 99分
舞台は秩父。子供の頃仲良しだった6人は、1人の少女めんまの死をきっかけにばらばらになってしまった。残った5人は高校生になりそれぞれの道を歩んでいたが、死んだはずのめんまが主人公じんたんの前に現れる。それをきっかけに仲良しだった6人が再開し、関係を築いていく物語。
印象的なタイトルで、名前だけ知っている方も多いのでは?略して「あの花」あの花は何と言っても音楽が良い!
OPテーマ
EDテーマ
全く予備知識が無い中で第1話を見たのだが、絶妙のタイミングでEDテーマが流れた!しかもZONEの名曲「secret base ~君がくれたもの~」のカバー!物語の雰囲気にぴったりで、涙が出そうになった。劇中のBGMも秀逸で、青春の胸がキュンとする感じや、切なさを運んできてくれる。
なんとなく岩井俊二監督作品の雰囲気に似ているように思う。(ただし岩井作品に比べてもっとポップだけども・・・。)劇中の季節は基本「夏」。夏の空気感を味わえる。舞台が秩父ということもあり、自然豊かな描写も見事。
物語自体は泣けると評判だけど、個人的には最終話の演出はちょっとくどく感じてしまった。しかし、そんなことはあまり気にならないほど、あの夏のキラキラした雰囲気を楽しめる良作です。
Angel Beats!
- 製作年:2010年
- 製作:Angel Beats! Project/中部日本放送
- 話数:全13話/特別篇2話
死後の世界の学園が舞台。生前、青春時代をまともに送れないまま死んだ人物が、普通の青春、普通の学園生活をおくる。しかし、死後の世界に疑問を感じたメンバーが、学園の風紀を守る生徒会長「天使」に戦いを挑み、この世界の秘密を知っていく物語。
Angel Beats!の魅力はギャグとシリアスのメリハリ。登場人物たちの掛け合い(どつき合い?)が怒涛のように続き、見ているだけで楽しい。男女グループのドタバタは、こんな青春いいなぁと思わせてくれる。しかしここは死後の世界。登場人物が死んでしまったきっかけはとても重苦しく、悲しい。
否応なく「生きているのなら、やれることがある。」というメッセージを感じる。基本は笑って観れる作品だが、シリアスパートは、「あぁ、ちゃんと生きなきゃ。」と思わせてくれる、明日への力が湧く作品。
Angel Beats!も音楽は秀逸。
OPテーマ
EDテーマ
更に、作中に登場するバンド「Girls Dead Monster」の楽曲も良い。
2010年当時、とあるアニメソングのフェスで、OPテーマのイントロ部分のピアノが鳴ったときの会場の熱気はすごかった。改めて聴きなおしてみたが、今も楽曲の輝きは色褪せていない。
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている
- 製作年:2013年(1期)/2015年(2期)
- 製作:やはりこの製作委員会はまちがっている。/TBS
- 話数:全13話 OVA1話(1期)/全13話(2期)
ひねくれぼっちの主人公、比企谷八幡(ひきがや はちまん)が奉仕部に入り、様々な人と出会い、変化していく物語。いわゆる学園ラブコメなのだが、テンション低めで落ち着いて観れる。この作品が普通の学園ラブコメと違うのは、「スクールカースト」が作品のひとつのテーマになっていること。
主人公は奉仕部で様々な問題を解決するのだが、その解決の方法がすごい。カーストの底辺として、失うものは何も無いという開き直りのような言葉で、問題の人物を追い込んでいく。その言葉は「本当のこと」であるが故に、スクールカーストを形成している「空気」を打ち壊し、人の心をえぐる。
人の言動の裏を読み取って、「お前はいい子ぶっているが、本当はこうだろう?」と、本人も気づきたくないような事実を晒す。そのせいで一番傷付き、ますます人を遠ざけてしまうのは本人。 本音と建前。大人になって無意識に使い分けているように思うが、建前だけでは息苦しくなってくる。
でも本音だけで生きられるほど、世の中単純じゃない!そういう、世の中の決まりごとを意識し出すのが、青春時代なのかもしれない。楽しいラブコメの中に、重いテーマが隠れている良作。
ちなみにアニメではないけれど、スクールカーストと青春を描いた名作と言えば・・・
こちらもおすすめ。
けいおん!
- 製作年:2009年/2010年/2011年(劇場版)
- 製作:桜高軽音部/TBS
- 話数:全14話(1期)/全27話(2期)/劇場版 110分
一世を風靡したアニメ。ひとつの時代を築いたと言っても過言ではないと思う。アニメーション制作は「京都アニメーション」京都アニメーションは良作アニメが多く、アニメ界ではひとつのブランド。高校の軽音部5人のメンバーが織りなす日常アニメ。明確な筋道のストーリーはほぼ無く、軽音部の女子たちのまったりした高校生活を描く。
「日常系(もしくは空気系)」というジャンルがある。
要するにたわいもない日常会話や生活の様子に主眼が置かれた作品のことで、けいおん!はその代表格だ。文章で説明すると、それの何が楽しいの?という感じだが、なぜか飽きずに見てしまう!日常とは言うものの、現実の日常はもっとキツいだろう・・・。先の「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」のような、スクールカーストという現実もある。
しかしけいおん!は、そんなリアルには目もくれず、日常のゆったりまったりした空気だけを切り取って、一種のユートピアを描いている。ただし、ひとつだけリアリティがある。時間の経過。つまり「卒業」という終わりが来るのだ。
ずっとずっと続くと思っていた楽しい日常が終わる。登場人物がそのことをちゃんと認識するシーンがある。ここは不覚にも泣いてしまった。もっと青春というぬるま湯に浸かっていたいなぁと、観る側も思ってしまう。将来のことなんてほとんど真面目に考えなかったあの頃。
些細なことでゲラゲラ笑っていた青春時代にトリップできる良作。
おおきく振りかぶって
- 製作年:2007年(1期)/2010年(2期)
- 製作:おお振り製作委員会
- 話数:全25話 未放送1話(1期)/全13話 未放送1話(2期)
高校の男子野球部が甲子園を目指す物語。と言うと、どこにでもある物語のようだけれども、「おお振り」はちょっと違う。未放送も合わせるとアニメは全40話あるが、まだ1年生の夏が終わったところ。1試合の描写が物凄く細かい。1打席ごとに選手の心理的な駆け引きを描く。前の打席はこのコースに投げたから次は・・・といった実際の野球の駆け引きを表現していて、野球に詳しい人でも楽しめる。
物語の軸は何と言っても主人公三橋廉(みはしれん)の成長物語。三橋は中学校の野球部では理事長の孫ということで特別待遇を受け、部員から嫌われてしまい、心に傷を負っていた。極端に臆病な性格になってしまい、高校の野球部でも、チームメイトは自分を嫌っているという大前提で野球をやっていた。
その性格のせいでチームメイトとの軋轢が生まれたりするのだが、三橋の圧倒的な練習量、努力の姿勢に部員は心打たれる。三橋は嫌われていると思っていたチームメイトが、自分を信頼してくれると知って徐々に心を開いていく。
負けてしまいそうなある試合で、臆病な三橋が、いつもビクビクしていたあの三橋が、「声、出せ。」と自分を鼓舞してナインを元気づけるために大声で叫ぶシーンは、何度見てもグッとくる!こうやって書いているだけで、少し鼻がツンとする。大人になって諦めることに慣れてしまった心を励ましてくれる作品。
おおきく振りかぶって、勇気を振り絞って。
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おわりに
アニメということで1話30分未満。休日に一気に見ても時間はまだまだ残る。今回紹介した作品以外にも、最近のアニメには見ごたえのある良作が多い。
忘れてたあの気持ち。
休日にゆっくり浸ってみるのも良いのでは?